お金自体の価値

2023年8月11日更新
サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

う〜ん、なるほど。今までは、景気が良くなるとかみんなが豊かになるとかには、なんかみんながとにかくお金持ちになればいいんじゃないかと思ってて、みんながあんまりお金を持ってなくて貧しいんなら、お金をたくさん作ってお金の量を増やせばみんな豊かになれるんじゃないかなあとかって思ってたけど、そうじゃあなさそうかあ。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

まあ、単にお金の量を増やしても、基本的には、そのお金自体の価値が下がるだけじゃあねえかな。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

「お金自体の価値が下がる」?

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

物の値段っていうのは、基本的に、いわゆる需要と供給のバランスで決まってくるんだよな。売りたいと思う人がいくらなら売るかっていうのと、買いたいと思う人がいくらなら買うかっていうのがあって、お互いが納得する値段があれば、その値段でお金と物が交換されることになる。みんなに人気のある商品なら、高い値段でも買うっていう人もたくさんいて、高い値段で売れることになる。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

なるほど。それはたしかにそうですかね。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

例えば、もし、みんなの持ってるお金の量が、一律に10倍になったとしたら、どうなるかな。買い物っていうのは、自分のお金にどれだけ余裕があるかで、何にいくらまでなら出せるかっていうのがかなり決まってくるし、みんながたくさんお金を持ってれば、あるものを高い値段でもほしいっていう競争率も上がるんじゃねえかな。もし、みんなの持ってるお金の量が、一律に10倍になったとしたら、前は「リンゴを1つ買うのに200円以上は出せないなあ」って思ってた人が、今度は、「リンゴを1つ買うのに2,000円以上は出せないなあ」って思うようになったりするし、リンゴを売る側としても、前は1つ200円くらいじゃないと売れなかったのが2,000円くらいでも売れるようになると、リンゴの値段を1個2,000円くらいにしたりするんじゃねえかな。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

あっ、う〜ん、それはたしかにそうかも。前は5千円くらいで買えてたゲームが、みんなが持ってるお金が10倍になってみんなが5万円でも買いたいってなれば、ゲームの値段は5万円とかになりそう。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

ちなみに、こうやってリンゴとかゲームとかの値段が10倍になったとしても、リンゴとかゲームとかが何か変わったわけじゃあねえよな。リンゴを食べて得られる満足感とか、ゲームをして楽しめる満足感とかは、変わってねえよな。リンゴとかゲームとかの価値が上がったわけじゃあねえよな。物の価値が上がったから値段が上がったんじゃなくて、価値を交換するための道具としての「お金」の価値が下がったんで、たくさんのお金とじゃないといろんなものと交換できなくなったってことじゃねえかな。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

あっ・・・、なるほど、そういうことか。なんか、物の価値とかって、値段がいくらだからとかで価値がありそうとかって思っちゃうこともけっこうあるし、お金っていうのはなんか価値の変わらない絶対的な基準みたいに思ってたところがあったけど、お金自体の価値っていうのも上がったり下がったりするかあ。そういえば、日本のお金の円と、アメリカのお金のドルとの交換割合って、昔と今では全然違うし、いつもちょっとずつ変動してたりするんですよね。それも、それぞれのお金自体の価値っていうのがあって、それがいつも同じじゃないからかあ。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

物の価値って、数が少なくて貴重なものだと高くなるけど、お金も、数が少なければ価値が上がりそうだし、数が多くなれば価値が下がりそうですかね。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

まああくまで、お金っていうのは価値を交換するための道具で、ただお金の量を増やしても、この国にある「価値」の量が増えるわけじゃあねえんで、単にお金をたくさん作ってみんなに配ったりしても、基本的には、お金自体の価値が下がるだけで、みんなの暮らしが豊かになったりはしねえんじゃねえかな。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

う〜ん、なるほど。みんなの生活を本当に豊かにするには、お金を増やせばいいんじゃなくて、やっぱり、みんなが生み出す価値が増えるようにしないと駄目そうかあ。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

ちなみに、もし、お金の量が増えてて、でもその増えた分のお金は一部の人にだけ配られてたりしたら、全体のお金の量は増えてるからお金自体の価値は下がって、お金をもらえてない人は、自分の持ってるお金の量は変わらないけどその価値が勝手に下がってしまって、貧乏になることになっちゃうんじゃないかな。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

あっ、それはそうなりそうですかね。まあ、自分の持ってるものの価値を勝手に下げられるなんて、そんなことされたらたまったもんじゃないですね。そんなの不平等だろうし。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

・・・あれっ? でもそんなようなことがもう実際に行われてるような・・・。「日本銀行の国債購入」? 「量的緩和」?

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

そういえば、10年くらい前は、この国のお金は80円くらいでアメリカの1ドルと交換できたんでしたっけ。でもそれからアベノミクスだとかなんだとかで日本のお金の価値はどんどん下がっていって、最近は130円とか140円とか出さないとアメリカの1ドルと交換できないんでしたっけ。最近、「物価高」とかって言って物の値段がかなり上がってますけど、まあ、日本のお金の価値が下がってるんなら、その分物の値段は上がって当然かあ。あれっ? お金の価値が下がってるんなら、みんなの収入の額もその分増えないと、そりゃあみんな生活が貧しくなって当然なんじゃ・・・。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

ちなみに、その国のお金の価値が下がったりする要因は、お金の量以外にもいろいろあるな。お金自体も、いわゆる需要と供給の関係で、みんながそのお金を欲しいと思えば価値が上がるし、みんながそのお金をそんなに欲しいと思わなくなれば価値が下がる。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

なるほど。まあでも、お金って、その国で暮らす人が使うだけのものなんじゃないですか? ある国のお金を他の国のみんなもたくさん欲しくなるとかなんてことはあるんですか?

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

例えば、アメリカで作られたスマートフォンだとかテレビゲームだとかを買うには、それをこの国に輸入してくるには、基本的に、まずアメリカのお金の「ドル」でそれらの商品を買う必要がある。そうすると「ドル」の需要が生まれる。それから、この国の人がアメリカ旅行をしようとする場合とかも、アメリカのお金の「ドル」が必要になるな。だから、ある国で、世界中のみんなが欲しいと思うような商品とかサービスとかがたくさんあると、その国のお金の需要は多くなって、その国のお金の価値は上がる。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

あっ、なるほど。そういえば、この国の人は、アメリカのスマートフォンとか(iPhoneとか)をたくさん買ってますし、中東の国とか(サウジアラビアとか)からは原油をたくさん輸入したりもしてますよね。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

それから、その国の金利の高さによっても、その国のお金の需要っていうのは変わってくるね。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

金利?

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

金利っていうのは、借金をしたときにどのくらいの利子をつけて返済するかっていうのの割合だね。世の中、誰かからお金を借りようとすると、よほど親しい関係だとかでもなければ、借りた金額よりもある程度多くの金額を返すようにしないと、なかなかお金は貸してもらえない。まあ、お金を貸す方としては、もしかすると何らかの理由でお金が返ってこないかもしれないっていうリスクもあるわけだし、お金を貸している間は自分はそのお金を使えない状態になってて不便になるかもしれないわけだしね。例えば、100万円のお金を借りて1年後に110万円を返すということなら、年間の金利は10%ということになる。基本的に、貸したお金が返ってこない確率が高い場合ほど金利は高くなって、それから、お金を貸している期間が長いほど金利は高くなる。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

ああ、なるほど、借金の利子の割合のことですか。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

お金を借りるケースというのは、例えばある個人が家を建てるために銀行とかからお金を借りる、いわゆる「住宅ローンを組む」という場合もあれば、ある会社が新しい工場を作るために銀行とか他の会社とか一般個人とかからお金を借りるという場合とかもある。それから、ある国が、国として銀行とか会社とか一般個人とかからお金を借りるという場合もある。国にお金を貸す場合、普通の安定した国であれば、貸したお金が返ってこないというリスクはとても小さいので、基本的に、国の場合は、金利をかなり低くしてもお金が借りられる。まあ、お金を貸す方としては、お金を貸せば、リスクはほぼ無くほぼ確実に、利子がついて返ってきて儲かることになる。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

まあ、国っていうのは、夜逃げして借金を踏み倒したりすることはないですし、会社みたいに業績不振で倒産したりもしないですしね。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

そうすると、国がお金を借りるのじゃない場合は、会社が借金をしたり個人が借金をしたりする場合には、国にお金を貸す場合よりもどうしても貸倒れのリスクが大きくなるので、国が借金をする場合よりも金利は高くなる。そうしないとなかなかお金は貸してもらえない。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

まあ、国にお金を貸せばほぼノーリスクで儲かるんだから、それよりリスクがあるなら、それだけ利子が高くないと、みんなお金を貸したくならないですよね。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

国が借金をする場合の金利は、主にその国の「政策金利」によって決まるようになってて、「政策金利」はその国の中央銀行っていうところが決めている。日本の中央銀行は「日本銀行」。そしてその国の政策金利次第で、さっき言ったような仕組みで、その国の他のいろんなケースの金利も決まってくる。そして、ある国で金利が高いと、その国のお金を入手してその国でお金を貸せば儲かりやすいので、他の国の人もその国のお金が欲しい人が多くなって、その国のお金の需要が増える。逆に金利が低い国は、その国のお金の需要が減って、その国のお金の価値は下がる。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

あ、なるほど、そうしてその国のお金の価値が上がる、もしくは下がることもあるわけですか。う〜ん、住宅ローンを組んだときに利子をより多くつけて返済しなくちゃいけないのとかは大変そうだけど、自分の持ってるお金の価値が勝手に上がってくれるっていうのはいいなあ。



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